世界地図は夜作られる
男のオネショについて、あんな事こんな事(体験談や思い出等)を語り合いましょう。ゲイ表現が含まれていますのでご注意ください。
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「夜尿症矯正合宿」第3話 tetsuyaさん作

『夜尿症矯正合宿』 第3話 by tetsuya

合宿は9月下旬の3連休だった。
俺は合宿の開催場所を見て愕然とした。
そこは俺がみんなの前でオネショをしてしまったあの県北のスポーツセンターだった。

忌まわしい記憶がよみがえってくる・・・
あの日を思い出すのは精神的に辛い・・・
でもそれを克服するためにこの合宿に参加するんだと自分に言い聞かせて、その日を待った。

集合場所は県内4ヵ所程に分かれていた。
それをマイクロバスが拾って廻り、最後にスポーツセンターに着くという段取りだった。

親の見送りなどは一切禁じられていた。
小学生でも一人で集合場所に来なければならなかった。
夜尿症患者であることを他人に知られるのを防ぐためであり、
ナイーブな患者に配慮した形と言えるだろう。

俺が集合場所に来ると、そこには3人の小学5、6年生くらいの男の子たちがすでに来ていた。
子供たちの視線をちらちらと感じる。
彼らの顔からは「えっ・・・このお兄ちゃんもオネショするの??」といった驚きが見て取れた。
皆初対面なのだろう。誰も口きかない。
俺も恥ずかしかった。
こんな子供たちに混じってオネショ合宿に参加しているんだ。
そう思うとふと不安になってきた。 
俺以外の参加者が全員小学生だったらどうしようか・・・
まるで俺は恥さらしじゃないか・・・

色々と考えを巡らせているうちにバスが来た。
小学生3人を先に乗せてから、俺は乗り込んだ。

バスの運転手にちらっと目をやって俺は驚いた。
テニスサークルの部長、石田だった。
石田は目でいたずらっぽく合図をすると、俺を奥に行く様に促した。
まさか知り合いが来るなんて・・・
石田が俺のオネショを既に知っているからとはいえ、やはり恥ずかしかった。
俺が石田にひそかに好意を寄せていたことも理由にあるだろう。
好きな人にこんな失態をまた見せてしまうのは嫌だった。
俺はちっと舌打ちしながら空いている奥の方の席に座り込んだ。

バスには既に4人程乗っていた。そのうち一人と目が合った。
俺は意識的に反らす。
彼は茶髪で一見高校生風だった。
隣に大きなスポーツバッグが見える。
彼も俺の様な大学生がこのバスに乗ってきたことに驚いた様子だった。
そしてちょっとほっとしたようにも見えた。

俺は一番奥の席に座った。
石田が全員座ったことを確かめると、バスはゆっくりと動き出した。
小一時間ほどバスは走り続けた。その間に俺を含め11人このバスに乗った。
あんまり小さな子は乗っていなかった。
多分俺と一緒にバスに乗り込んだ小学生が一番最低年齢だろう。
あとは中学、高校生らしき人が大半だった。
結構年齢層を高めに設定しているのかもしれない。
俺と同年代くらいの人も一人いた。

俺は少し憂鬱な気持ちが消えてきた。
こいつら全員、オネショが治ってないなんてちょっと驚きだな・・・
俺は自分の事を棚に上げて、勝手なことを思っていた。
でも俺が味わってきた苦しみを、皆同じように感じてきたのかもしれないと思うと妙な安堵感が沸き上がってきた。

バスは無言のまま、スポーツセンターに到着した。
センターの駐車場には医師の格好をした(多分この人が石田のおじさんだろう)
とボランティアと思われる人2人が出迎えてくれた。
スタッフは全員男だった。参加者も全員男だった。
男と女は日を別にして合宿を行っているらしい。
スタッフも異性のスタッフが参加しないよう気を配っているとのことだった。

センターの体育館にまずは全員通された。
そして、医師がマイクを持ち、自己紹介を始めた。

「え~ 私、この夜尿症矯正合宿主催者の医師、塚本と申します。 
今日は勇気をもって、この合宿に参加してくれた皆さんに拍手を送りたいと思います。 
この合宿は小学高学年、中学、高校、大学、そして社会人になっても
夜尿症が治らないという悩みを 抱える人達のために始めたもので、今回で10回目となります。 
今までこの合宿に参加して夜尿症を克服してきた人は数多くいます。 
完全に治らないまでも回数が減ったなどのよい結果が得られています。 
ぜひ皆さんも、この合宿を通して今まで抱えてきた夜尿症コンプレックスを吹き飛ばしてください!」

塚本医師はそういい終ると、マイクをスタッフに渡した。

「あ、スタッフの吉川です」

「相沢です」

順々にマイクを回し、簡単に名前を述べていった。
その後、マイクをまた塚本が取り上げ、
「このスタッフは以前この合宿に参加してくれた人達です。
当然君たちの先輩ということになります 分からないことがあったら彼らに聞いてください」

徹底してるなぁ・・・と俺は思った。
最初に感じていた不安はどこかに吹き飛んでしまった。

「それでは各人、順番に自己紹介をしてもらいますので円形に座ってください」
塚本はそういうと全員を車座に座らせ、自己紹介が始まった。

第4話につづく
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