『夜尿症矯正合宿』 第2話 by tetsuya
「何だこれ??」
俺は新聞受けに無造作に入れられたチラシを見て
身体がかーーっと熱くなるのを感じた。
そこにはこんな文面が…
『夜尿症でお困りの方に朗報!!
当医院では、第10回夜尿症矯正合宿を実施します!
夜尿症克服のためのさまざまなプログラムを用意して、お待ちしております。
この合宿を通して、夜尿症に決別しましょう!』
あとは、日時と場所、申込方法などが書かれていた。
何故こんなチラシが俺の所に…
嫌がらせだろうか。サークルの奴らの…
俺のオネショを知っているのはあいつらしかいないんだから。
いや、夏休みが終って面白おかしくあいつらの友達にも言いふらしているかもしれない。
俺はチラシを破り捨てようとしたが、文面にひっかかり、どうも捨てられなかった。
その夜…携帯が久しぶりになった。
着信はテニスサークルの部長、石田だった。
俺は出ようか出まいか迷ったが、
あのとき親切に小便臭いシーツや布団を片付けたり、
スポーツセンターの職員に話し、謝ってくれたのも石田だった。
俺はボタンを押した。
「はい…」
「あ、俺、石田です~」
「あ、こんばんは…」
「最近、全く大学に顔を出してないみたいだな」
「まぁ…そうです…」
「まだ…あのことでクヨクヨ悩んでんのか?」
「…」
「皆には絶対口外しないように話してある。気にせずに大学に来いよ!
そろそろ試験だぞ!」
「…ほっといてください」
「あ、今日のチラシ読んだか?」
「!? チラシって…あの…!」
「夜尿症矯正合宿のチラシだよ。あれ、俺が入れたんだ」
「…」
「怒らずに聞いてくれよ。俺のおじさんは医者で、夜尿症の専門医なんだ。
あの合宿はおじさんがボランティアと一緒に年に1回開いているらしいんだ。
あの合宿で完全に治るってこともないかもしれないけど、
行けば何かのきっかけになるかもしれないと思って…」
「…」
「おせっかいなことを!って思うかもしれないけど、
俺も小学校6年まで寝小便が治らなくて…
実は俺もこの合宿に6年生のときに参加したんだ。おじの勧めで。」
石田が小6までオネショしていた…小6…俺から見たら早い治りだが、
世間一般から見たら、遅い治りには違いない。
俺も小6のときはほぼ毎日の様に失敗していた。
石田も結構悩んだのかもしれない。だから俺に優しかったのかも…
そしてこんな合宿をおせっかいだと思われながらも勧めてくれるのだろうか…
「でも…どうせ小さい子供ばっかりでしょ?」
石田は俺が話に乗ってきたのを感じたのか、声のトーンを上げて、
「いや、それが結構年上の奴がいるんだよ。 俺も最初は嫌だったんだ。
小6でオネショするなんて 俺くらいのものだと思っていたからね。
そうしたら中学、高校生、社会人も1人いたんだ。」
「社会人…!?」
「だからいいきっかけだと思って行ってみろよ。
なんだったら俺からおじさんに直接頼んどいても いいぜ!」
それなら…と俺は思った。
この人は俺を本当に心配してくれているんだ。
そう。一度は治ったオネショだったんだ。これをきっかけにまたオネショが治るかもしれない。
「わかりました。じゃあ石田さんの方から申し込んでもらってもいいですか?」
石田はいい返事がもらえたことを喜んで、
「ああ、任せとけ! 多分向こうから資料が送られてくると思うから目を通しといてくれな!」
「はい」
「あと…ちょっと最初のうちは厳しく感じるかもしれないけどその辺は了解してくれよ、オネショを治すってことは結構大変なことらしいから・・・」
その言葉の後、別れのあいさつをして電話は切れた。
》第3話につづく
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