世界地図は夜作られる
男のオネショについて、あんな事こんな事(体験談や思い出等)を語り合いましょう。ゲイ表現が含まれていますのでご注意ください。
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翼と直の新婚旅行(?)その2
ローゼンガルテン(バラ公園)からまた旧市街をぶらぶらしながらホテルに戻り、レストランでビュッフェスタイルの朝食を食べる。翼はヨーロッパで初めての朝食なので、何を食べるかしきりに悩んでいる。それでもなんとか食べられるだけのものを持って席に帰ってきた。
朝食を食べながらこれからの予定を検討する。翼が急にアインシュタインが住んでいた家を見たいと言い出した。ガイドブックによるとホテルから歩いて10分くらいのところにある。どうもさっき通ってきた石のアーケードが両側にある通りにあったらしい。
ホテルのチェックアウトは11時なので、荷物を部屋に置いたまま、歩いてアインシュタインの家に行く。中では英語の説明があり、翼はときどき質問をしながら面白そうに聞いている。それほど広い家ではないのでそれほど時間がかかることもなく見学を終えて、ちょっとだけ回り道をしてまだ歩いていない通りを見物しながらホテルに戻った。
ホテルをチェックアウトして、ベルン駅に向かう。窓口でインターラーケンまでの切符を買う。列車は30分おきに出ていて、次の発車まで10分くらいだ。
ベルンを出た列車はすぐに田園地帯を快調に走る。しばらくすると山が近くなり、トゥーン湖が列車の右側に見えてきた。

翼:きれいな湖だね。
直:トゥーン湖って言うみたいだよ。
翼:そうか、ラーケンはラックだから、湖のあいだにあるってことだよね。
直:そうだよ、この湖とブレンツ湖のあいだにある町ってこと。
翼:インターラーケンから登山電車にのるんでしょう?
直:まずは本格的な登山電車じゃなくて、急勾配のとこだけ、歯車がかみ合って上っていくんだよ。
翼:そんで今夜はどこに泊まるつもり?
直:インターラーケンからは二つの方向に電車が出てる。ひとつはグリンデルワルト、もうひとつはラウターブルンネンっていうとこ。
翼:グリンデルワルトって有名なとこだよね。
直:超有名観光地。日本人もたくさん来てるんじゃないかな。ラウターブルンネンは谷間の小さな村で、観光地だけど、グリンデルワルトよりは静かかな。
翼:じゃあ今夜はラウターブルンネンに泊まることにしようよ。いいホテルが空いてるといいね。
直:観光案内所で聞けばすぐに見つかると思うよ。
翼:どんなとこに泊まれるか楽しみ。

そんなことを話しているあいだに、インターラーケンオスト駅に着いた。インターラーケンにはウエスト駅とオスト駅があり、ベルン方面から来ると先にウエスト駅に着くのだけれど、ラウターブルンネン方面に行く電車はオスト駅から出るので、間違わないようにしなければならない。
インターラーケンから出る電車は、グリンデルワルト方面とラウターブルンネン方面がでているが、途中の駅までは、同じ線路を通っていくので、連結されているので、車両の行き先を確かめてのる必要がある。

翼:なんか間違って乗っちゃいそう。
直:まあ間違ってもそれほど遠くに行くわけじゃないから、心配しなくてもいいよ。間違ってグリンデルワルトに着いてしまったら、今夜はそこで泊まればいいわけだし。それにグリンデルワルトの観光案内所には日本語の話せる人が常駐してるらしいし。
翼:別に直は日本語話せる人がいなくても困らないじゃん。
直:でも日本語のほうが楽だからね。
翼:それならラウターブルンネンの案内所に英語の話せるヤツがいたら、オレが交渉してもいいぞ。
直:ありがとね、翼。

電車はインターラーケンオスト駅を出て山のほうにかなりの速さで進んでいく。10分ほど走ったところで、しばらく停車して、先にグリンデルワルト行きの電車が発車した後、ラウターブルンネン行きが発車する。勾配がだんだんきつくなり、がたんと軽いショックがした。ラックレールに歯車がかみ合ったようだ。電車は普通の鉄道では考えられないような勾配を力強く上っていく。しばらくして線路が平坦になったと思ったらラウターブルンネンに到着していた。
駅前の観光案内所でホテルを紹介してもらう。予算と眺めなどの希望を言うとすぐに適当なホテルに連絡してくれて空きを確かめてくれる。さいわいすぐに条件に合ったホテルを紹介してもらい、地図をもらってホテルに向かう。

翼:けっこうあっけなく見つかったね。
直:まだ時間が遅くないからよかったんだろうね。ここからは5分くらいで行けるってさ。
翼:あっ!あの水なに?
直:あああれね、シュタウプバッハの滝っていって、ヨーロッパでいちばん落差の大きい滝らしいよ。
翼:すごいよね、下のほうはだんだん霧みたいになってるね。あれが見える部屋かなあ。
直:そっちのほうが良かった? たぶん部屋はあっちの山のほうが見えると思うから、滝は見えないかもしれない。
翼:そうか、滝と反対方向のほうが景色開けてるもんね。

ホテルは規模はそれほど大きくはなかったけれど、シャレというのか、大きな三角屋根の伝統建築で、スイスらしい雰囲気だった。入り口を入って行くと暖炉のあるフロントとラウンジがあり、フロントには誰もいなかった。
直:大きなホテルじゃないからいつも人がいるわけじゃないんだろうね。
翼:ひょっとしたらそのカウベルを鳴らすと誰か来るんじゃない?

カウベルを鳴らすと民族衣装をきたおばちゃんが奥から出てきた。駅前の案内所で紹介されて来たと言うと、すぐに話は通じ、部屋のキーを渡してくれる。
木の階段を上って二階に上がり部屋に入る。飾り気のないシンプルな部屋ではあるが、思ったよりも広い。それよりもまどから見える風景がすばらしい。

翼:いいながめじゃない。
直:気に入った?
翼:すごく気に入ったよ。ベランダのチェアに座ってゆっくりと眺めたいね。
直:もう三時過ぎたのに、まだ昼メシ食ってなかったね。
翼:オレ朝食いすぎて、まだ腹減らない。直は?
直:ぼくもそれほど減ってない。それじゃあ今は飲み物だけにして、夕食を早めに行くことにしよう。
翼:オレもそのほうがいい。休んだらどこか見に行く?
直:明日は登山電車を乗り継いでユングフラウヨッホに行って、グリンデルワルトを見る予定だから、今日はさっきの滝の上の高原にあるミューレンって村に行ってみようか? でも天気がどうかなあ。
翼:登山電車って、ひょっとしてあそこの斜面を今登っているあの電車?
直:そうだね、たぶんあれだね。上のほうの雲がかかってるあたりの下がベンゲンの村があるところだろうね。

ぼくたちは荷物も解かずに、冷蔵庫から缶ビールを持ち出して、ベランダのいすに座り、目の前に広がる絶景を眺めながら、しばらく午後の静かな時をすごした。

ラウターブルンネンのホテルからの眺め
ホテルのベランダからの眺め。天気がすごく変わりやすくて、このときは少し雲がかかっている。
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